ハーユウ二次創作。ユウがハーツに捕まって無理矢理召し抱えられるお話。第一話とある通り何話か続く。

解釈違いだったらごめん。オリキャラ出てきます。

ユウちゃんいじめてごめんなさい(先に謝っておくスタイル)



第一話 Sadistic Affection


謁見の間、その広い空間の真ん中で、ユウはポツリと一人座っていた。周りには王の従者たちが少し距離をとって彼女を囲んでいる。そして階段の上から、この帝国の王たるハーツがユウを見下ろしていた。

……それで、この格好は何?」

ユウはハーツを睨みつける。ユウが着ているのは黒を基調とした膝下まで伸びたワンピースに、白いエプロン。城のメイドたちが着ているものと全く同じものだ。

「見りゃ分かるだろ。メイド服だ」

ハーツは呆れたように素っ気なく答える。

「アタシをどうするつもりだ!!」

「はぁ?分からねえのか?お前はこの城でメイドとして俺に仕えるんだよ。まっ、せいぜい可愛がってやるから安心しろ」

ハーツはニヤリと笑いながら言った。




どうしてこんなことになったのだろう。話は数日前に遡る。ユウは怪盗Aとして王国を取り戻すべく帝国内を奔走していた。しかしハーツの力は帝国のあらゆる場所に及び、遂には捕らえられてしまったのだ。投獄されたユウは死を覚悟していたが、突然呼び出され、今に至る。




ユウは周りの従者たちに監視されながら、王の部屋に入る。部屋にはハーツが一人ソファに座っていた。

「今日から王のお世話をさせていただきます。ユウです。ヨロシクオネガイシマス」

露骨な棒読みで、ユウは挨拶した。

「おう、よろしく」

ユウの抵抗をハーツは気にも留めない。ハーツは一言放つだけで、すぐに視線を他に移した。

「それでは、掃除を始めさせてイタダキマス」

ユウは手にした掃除用具で、渋々掃除を始める。他のメイドたちと掃除する様子をハーツはずっと見ていた。


「おい、怪盗」

ふと、ハーツはユウに声をかけた。

……何でしょうか」

ユウは不機嫌に返事をした。

「紅茶を淹れろ」

「ハイハイ、かしこまりました。王様」

ユウは掃除用具を置き、部屋の紅茶道具を取り出して紅茶を注ぐ。

「どうぞ」

差し出された紅茶を、ハーツは何を言わずに飲む。そして無表情のまま、カップを置く。

「おい、そこに座れ」

ハーツはユウの足元を指差した。周りに椅子など無いから、ユウはその場で床に座り込んだ。それを見たハーツはカップを持って立ち上がる。

そして紅茶をユウの頭上から垂らす。

……!!」

熱湯がユウの首元に流れ、彼女は言葉にならない叫びをあげる。

「何するんだ!!」

ユウは怒り立ち上がって抗議しようとするが、ハーツはその筋肉質の腕で、ユウを荒々しく床に押し倒した。

「それはこっちのセリフだ、怪盗。お前みたいな大罪人は普通処刑だからな。それを俺が温情をかけてこうしてメイドとして雇ってやってるんだ。その恩に対してその態度か??お前、ちっとは自分の立場考えろよ」

ハーツはカップに残った紅茶を再びユウにかける。

「あつっ……!!!」

ユウはその熱さに再び悶える。

「それとも、王国のオヒメサマは紅茶の淹れ方も知らなかったのか??」

辺りを見回すと、他のメイドたちは皆傍観するだけで助けようともしない。ただクスクスと笑っている。

「あ〜あ、床が汚れちまった。おい、お前が汚したんだからお前が掃除しろよ」

……かしこまりました」

ユウは唇を噛み締めながら、ハーツに従った。


その後も、ハーツは何度も仕事中のユウの邪魔をし、しつこく嫌がらせを続けた。城の従者たちは顔をしかめる事もなく、惨めなユウを嘲笑う。



「こんな城……もう出てやる!!」

ユウがそう考えるのはごく自然な事だった。そう決意したのが一日目の夜というのは随分と早いが、牢獄と違い、今は自分を閉じ込める檻も、行動を制限する足枷もない。何より、彼女は怪盗だった。城の中には従者が沢山いるとはいえ、彼らたちの目を盗んで城を抜け出す事など容易だ。


ユウには監視の従者が付いていたが、彼らが目を離した隙にふらりと部屋を出る。そしてメイド服のまま廊下を走る。

遅れて叫び声が聞こえる。彼女が居なくなったことに気づいた従者たちが必死に探しているのだろう。廊下の向かいからも足音が聞こえる。

(こういうときは……よっと)

ユウは窓を開けて、外に飛び出す。そのまま窓枠を伝って、そして足場を見つけて飛び降りる。

(さて、この城の構造はよく知ってるから……ここからだと……)

頭の中で城の地図を描き、人目に付かないルートを探す。すぐに決定し、再び走り出す。

(なーんだ。全然余裕じゃん)

すぐに出口近くまでやって来てしまった。これなら牢獄から脱出を試みた方が怪盗としてはやり甲斐があったというものだ。

(なんでメイドなんかにしたんだろ)

ユウはハーツの浅慮さに呆れていた。彼が彼女をメイドにして、逃げられるということを考えていなかったのだろうか?そうだとしたら随分と滑稽な話だ。




ただ、彼はそんな愚者では無かった。

「こんな夜中にどこに行く気だい?お姫様」

出口から響く女性の声。透き通るようなものではなく、ドスの効いた荒くれ者の声だ。

「誰だ?!」

ユウはとっさに身構える。

「こうして会うのは初めてましてだな。何、ただの雇われの傭兵さ」

闇から二丁拳銃を携えた女性が出て来る。その短い白髪は月の光に照らされ、光り輝いていた。

「なら、どいてもらう!!」

ユウは瞬時に距離を詰める。これでも帝国の兵士なら2,3人は同時に相手にできる腕前だ。倒す事は出来なくとも、逃げる隙を作ることぐらいは出来るはずだ。

その考えはすぐに否定された。

「甘いよ」

傭兵は素早く銃を回し銃口を掴むと、柄でユウの頭を殴りつける。ユウはそのまま床に倒れこんだ。

「さて、上手いこと気絶させた……はずだよな?打ち所が悪かったらアイツに怒られちまうな」

傭兵は誰にも聞こえない冗談を呟くと、気絶したユウを担いで廊下を歩く。




王の部屋は未だに明かりが点いていた。コンコンとノックが響く。

「王様、起きてるんだろ?」

「ああ、入ってくれ」

扉が開き、ユウを抱えた傭兵が部屋に入る。

「お前の言う通り待ってたら本当に来たよ。お前相当コイツのこと好きだな」

傭兵は笑いながら言った。

「バカ言え。好きな相手にあんなことするか」

ハーツはぶっきらぼうに答える。

「ハイハイ、それで、ベッドに寝かし付けておくかい?」

「床でもなんでも、お前の好きなところに捨てておけ」

「はいはい、どこでもいいんですね」

傭兵はユウをベッドに放り投げる。

「襲うなら今だぞ?」

傭兵は冗談交じりに言う。

「誰がそんなことするか」

ハーツの声は怒りに満ちていた。

「おいおい、冗談だって。でもさぁ、いい加減に認めたらどうだい?別にアタシはアンタの恋愛を応援してるんだぜ?女のアドバイスぐらい聞いとけよ。そんなんだから童貞なんだよ」

「それは関係ないだろ、ジレーネ」

とうとうハーツは彼女の名前を口にした。

「アタシには分かってるんだよ。アンタがコイツに対してそう言う態度を取るのは、コイツを守るためってな。普通怪盗が恩赦を受けてメイドになるなんてありえねぇ。当然コイツは周囲から常に不審な目で見られる訳だ。それをお前は彼女を”惨めな存在”に仕立て上げることで、その”不信感”を”可愛そう”という哀れみにすり替えようとした。だろ?」

……

彼女の言葉に、ハーツは沈黙を以って答える。

「当然近くに置こうとすれば周りの奴からの嫉妬も買うだろうからな。いや、ホントにお前はガキの頃から頭のキレるやつだったよ」

ハーツは何も言わずに彼女の言葉を聞いていた。

「話はそれだけか?用が無いならさっさと出て行け」

「なら出てくよ。……ああ、アメとムチは上手く使い分けろよ。じゃないとホントに嫌われるぞ」

そう言い残して傭兵は去って行った。




「はぁ……

ハーツは深いため息をついて、ベッドを見る。ベッドの上には気絶したユウがエプロン姿のまま寝ていた。

「せめて着替えさせるか……

ハーツはユウをそっと抱き寄せる。

「いや、着替えさせるだけだからな。いやらしい気持ちはないからな」

まるで自分自身に言い聞かせるように独り言を呟く。

ユウを寝巻きに着替えさせると、ハーツはユウの隣に寝転がる。

(やべっ……このまま寝そう)

いつの間にか夜も更けていた。睡魔は彼を眠りへと誘い、そのまま落として行った。



後書き 


いじめてごめんなさい!!!!

ハーツはドSと思いきやツンデレだった……

次回からイチャイチャするはず()。

あとオリキャラの傭兵ことジレーネ(Sirene)さんは今後も絡んでくる予定。一体何者なんだ……?!というのも次回以降書ければいいな。


最後に一言。


ユウちゃんいじめてごめんなさい!!!